http://d.hatena.ne.jp/walkeri/20041110#p3
 講談社現代新書のカバーデザイン変更のこと。大方のひと同様に、僕も今回のデザイン変更を嘆き悲しんでいるわけですが。これって単なるデザイン変更というだけではなく、編集方針自体の転換を意味するものではないかしら。

 カバーをデザインしたひとのインタビューが
http://shop.kodansha.jp/bc/books/hon/0411/nakajima.html
で読めまする。ここで出てくる言葉はスタンダード・モダン・オールドといったもので、今までのデザインが工作舎NTT出版(たとえば戸田ツトムとか)に近い、つまりノンスタンダード・ポストモダンニューアカデミズムといったイメージであることを考えると、180度近い方針転換なわけです。

 変更後の表紙で「須弥山と極楽」(←僕が初めて買った講談社現代新書)のような本が出版されるところが、僕にはあまり想像できないのでしたよ。仮にこの感性が現代新書編集部に共有されているとしたら、つまりそれは彼ら彼女らが今後「須弥山と極楽」のような本を出版する意図が無いということになるわけです。それは大層悲しい。
 さらに、これから発刊の本だけでなく、いままでに発刊された本をも新カバーにして店頭に並べたということは、新しい編集方針にそぐわない本の再版を切り捨てていくのではないか。そういう懸念を感じるわけで。

 さて、ニュー・スタンダードを目指しているらしい講談社現代新書の発刊予定(http://shop.kodansha.jp/bc/books/gendai/)ですが、帯がついた状態で書影が載ってますね。帯に書かれている文章に頭を抱えたくなります。なんというか実用書に付けるような売り文句で、そのうえ芸がありません。
 新書界というものがあるとすれば、片方にプチ知的権威としての岩波新書中公新書があって、もう片方に(いわゆる)実用的な知識の提供を売りとする新興の新書があると言えるように思います。
 リニューアルした講談社現代新書は、その狭間で宙ぶらりんになっている印象を受けます。権威に色目を使いつつ実用書的な売り方をするような。あまり格好良くは見えません。