1800-11-01から1ヶ月間の記事一覧

http://www.lacan.com/zizekwaterloo.htm 自由主義のワーテルロー(あるいは、『最後にワシントンから、グッド・ニュースをお伝えします!』) スラヴォイ・ジジェク

ブッシュの再選に対する革新派の最初の反応は、絶望、さらには恐れといったものであった。ブッシュのこの4年間が単なる悪夢でなくなってしまったのだ。ビッグビジネスと原理主義的ポピュリズムとの悪夢のような連携が転がり進んでいくであろう――ブッシュは新…

多くのヨーロッパ人は、どのようにしてブッシュが、彼に反対する知識人や大衆文化エリート*1に対して勝利を収めることができたかについて不思議に思っている。いまやヨーロッパ人は、アメリカにおけるキリスト教原理主義の、過小評価されていた動員力に直面…

アメリカのキリスト教原理主義におけるベストセラー小説、ティム・ラヘイとジェリー・ジェンキンズの「残されたものたち」(レフトビハインド)シリーズを取り上げてみよう。来るべき世界の終末について描かれたこの12冊の物語は、合計6000万部の売り上げが…

次の話題は、スターリン主義者にとってのバイブルである「VKP(b)*1の歴史」において示された、民主主義の基本的パラドックスに関するものである。 スターリン(彼はこの本のゴーストライターである)は、20年代後期における党大会での投票を描写する。「大多…

民主主義というのは、単なる「人民の、人民による、人民のための権力」には留まらない。民主主義においては多数派の意志と利益とが(意志と利益とは自動的には一致しない)国家の意思決定を左右する、と述べるだけでは十分ではない。 今日において、民主主義…

十分に年をとった人々は、民主社会主義者たちの「正統的な社会主義のヴィジョンを示すことによって、哀れな『実在する社会主義』に対して対抗する」という退屈な試みのことを覚えている。 そのような試みに対して、標準的なヘーゲル的解答は十分な返答となる…

このことは、ブッシュの勝利が詐欺または選挙操作の結果としての偶発的な出来事だったということを意味するわけではない。ナポレオンが二回敗北しなければならなかったことについて、ヘーゲルは適切に書いている。つまり、ワーテルローの後になって初めて、…

2001年9月11日にツイン・タワーが崩壊した。その12年前、1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊した。11月9日は「幸せな90年代」を告げるものであった。幸せな90年代――それは、フランシス・フクヤマが夢見た「歴史の終焉」であり、リベラル民主主義が大体におい…

ウィリアム・クリストルとローレンス・F・カプランは、彼らの近著『ネオコンの真実―イラク戦争から世界制覇へ』において次のように書いている。 「我々の任務はバグダッドにおいて始まるが、しかしながら、バクダッドは任務が終わる場所ではない……我々は、新…

「新世界秩序」の新しいヴィジョンは、このように最近のアメリカ政治における実際的な枠組みとなっている――9月11日以後、基本的にアメリカは世界の他の部分を、信頼できるパートナーとしては不適切とみなしたのだ。アメリカの究極的な目標は、もはや、普遍的…

これらの指針の中で、全ての思考する革新主義者は、ブッシュの勝利を喜ぶべきである。来るべき対立の輪郭が、より明確な形で描かれようとしているからである。ケリーが勝利していたとしたら、それは一種の歴史的な例外であろう。そしてそれは、歴史的転換の…

しかし、ブッシュが勝利したことによる主な利益は、国際政治に関するものだ。もしケリーが勝っていたならば、自由主義者たちはイラク戦争の結果に直面せざるを得なかったであろう。そしてブッシュ陣営は、本来は彼ら自身が行った破滅的決定の結果に関して民…

ブッシュの勝利は、先進西欧諸国の間における利益の団結についての幻想を吹き飛ばしてしまうであろう。それは、欧州連合またはラテンアメリカにおけるメルコスールのような新しい同盟を強化する際の、痛みを伴うが必要なプロセスに新しい刺激を与えてくれる…