1800-10-01から1ヶ月間の記事一覧

”The Subject Supposed to Loot and Rape”

■The Subject Supposed to Loot and Rape--Reality and fantasy in New Orleans 略奪や強姦を行っていると想定される誰か――ニューオーリンズにおける現実とファンタジー スラヴォイ・ジジェク 2005年10月20日 http://www.inthesetimes.com/site/main/article…

■ 良く知られている逸話(アネクドート)によると、何らかの迷信的な考え(たとえば、自分たちは魚や鳥の子孫であるとか)を持っていると思われる「未開人」を研究している人類学者が、彼らがそのような考えを「本当に」信じているのかどうかを直接訊ねてみ…

■ 我々はサンタクロースの慣習を通して、これと同様のことを我々の子供たちに対して行う。 子供たちはサンタクロースのことを信じている(と考えられている)。我々は子供たちを失望させたくない。そして、子供たちは彼らの純真さに対する我々の信頼を傷つけ…

■ ハリケーン・カトリーナがニューオーリンズを直撃したあとでの出来事は、この一連の「〜していると想定される誰か」に新たな例――略奪や強姦を行っていると想定される誰か――を付け加えた。 我々は皆、社会秩序の崩壊、黒人による暴力の勃発、強姦と略奪につ…

■「見捨てられ、生存の手段無しに取り残された悲惨な黒人たち」という現実は、このように、暴力的に激発する黒人、無政府状態に陥った街路で殺され強姦される観光客、女性や子供たちを強姦するギャングによって支配されるスーパードーム、という幻影へと変換…

■ もちろん、脅威の感覚は本物の無秩序と暴力によって喚起されたものである。嵐がニューオーリンズを通過した後、空き巣や生活必需品を探し漁ることなどの程度で略奪が起こった。しかし、このように犯罪が(きわめて限定的な範囲であるが)実際に起こったと…

■ そして、まったく同じことが、ニューオーリンズの略奪にも当てはまる。たとえ暴力や強姦についての「全ての」噂が実際に真実であることがわかったとしても、彼らを取り巻く噂はまだ「病理的」であり人種差別的なものだ。なぜから、これらのストーリーを動…

■ もちろん、決して我々は公然とはそれらの動機を認めることはない。にも関わらずそれらはときおり、検閲修正され、見せかけは否定的な装いで我々の公的なスペースへとヒョイと現れる。それらの動機は他の何かの付属品として呼び出されるやいなや、即座に廃…

■ しかし、懐かしの人種差別主義のみを我々はここで相手取っているわけではない。それ以上のもの、来たるべき「グローバル」社会の根本的な特徴が問題となっているのだ。 2001年9月11日にツインタワーが崩壊した。それより12年前の1989年11月9日にはベルリン…

■ 2年前、欧州連合(EU)の不吉な決定はほとんど注目を集めずに議会を通過した。EUを移民の流入から確実に隔離するために全ヨーロッパ的な国境警備隊を設立するという計画である。これこそがグローバリゼーションの真実――繁栄のヨーロッパを移民の殺到から保…

■ 2005年10月初頭、ジブラルタル海峡を越えて存在するスペインの小さな飛び地*1へと必死に侵入しようとするアフリカ人移民の問題に取り組んできたスペイン警察は、スペインとモロッコとの国境に壁を建設する計画を提案した。提案されたイメージ――最新の電子…

■ このことは、ニューオーリンズ――内なる壁が黒人たちをゲットーに押し込めて豊かさから疎外する点で、アメリカ合衆国でもっとも目に付く都市の1つだ――においての、「略奪や強姦を行うと思われる誰か」に関する流言や「噂」へと我々を引き戻す。 その流言や…