次の話題は、スターリン主義者にとってのバイブルである「VKP(b)*1の歴史」において示された、民主主義の基本的パラドックスに関するものである。
 スターリン(彼はこの本のゴーストライターである)は、20年代後期における党大会での投票を描写する。「大多数の同意を得て、満場一致で党大会は中央委員会によって提案された決議を承認した」 さて、投票が満場一致であったとしたならば、一体どこで少数派は姿を消したのだろう?
 このことは「全体主義的な」邪悪な曲解を行った結果として、民主主義に対する裏切りが起きたということではない。このパラドックスは民主主義のまさしくその構造に組み込まれているのだ。民主主義は多数派と「全体」との短絡である。勝者は全てを得ることができ、多数派が全体だとみなされて全ての権力を握る。たとえこの大多数が数百万の中の単に二、三百の投票だけであるとしてもである。

*1:共産党ボリシェビキ党)中央委員会