この点において、オバマは公的に話せることの限界を変える並外れた能力を示しつつある。現在までに彼が成し遂げた最も偉大な達成とは、洗練された、刺激的でないやり方によって、一度は口に出せなくなった話題――政治における人種問題の継続した重要性、一般生活(public life)における無神論者の積極的な役割、イランのような「敵」と対話する必要性――を公開演説の中に導き入れたことである。
 そしてそれは、領域全体の座標を変更するような偉大な達成なのだ。ブッシュ政権でさえも、そのような公約を行ったことでオバマを最初は非難していたが、現在では彼ら自身がイランとの直接対話を行っているのだ。
 もし合衆国の政治が現在の行き詰まりを打破するならば、それは私たちが考え、行動することのできるやりかたを変えるであろう新たな言葉を必要とするのだ。