Slavoj Zizek ”You May!”(その13)

(The Post-Modern constellation in which the subject is bent on experimenting with his life encourages ……)
 ポストモダン的状況において、主体は自らの人生に関して実験を行わなくてはならない。この状況は(ジュディス・バトラーの用語を用いるならば)新しい"passionate attachments"*1を構成することを促進する。しかしながら、家長的象徴秩序の消滅が、服従に対するより強い"passionate attachments"によって釣り合いを取られていたとしたらどうであろうか?
 これは、レズビアンカップルの間において、厳格な主従関係が流行しているということを説明しているかもしれない。命令を与える人は「トップ」、従う人は「ボトム」と呼ばれる。*2そして「トップ」になるためには、困難な徒弟期間を完了せねばならないのだ。この「トップ/ボトム」の二重性は、直接的な「(男性的な)攻撃性への一体化」の徴候でもなければ、父権的な支配関係のパロディやイミテーションでもない。むしろそれは、自由に選択した主人/奴隷という共存形態が、リビドー的な満足感を与えてくれるという、純粋なパラドックスを表しているのである。

*1:「情熱的固着」とかで良いと思うんだけど。助けてーー!

*2:訳者コメント:これは「攻め/受け」に近い概念らしい。いわゆる「タチ/ネコ」的なものは「ブッチ/フェム」と呼ばれるそうな。訳者には詳しいことは分からないが、「トップ/ボトム」と「ブッチ/フェム」で、2×2=4通りの可能性があるようだ。