Slavoj Zizek ”You May!”(その7)

('When I hear the word "culture", I reach for my gun,' ……)
「『文化』という単語を聞くやいなや、私は自分の銃に手を伸ばす』 ゲッベルスはこのように言ったとされる。「『文化』という単語を聞くやいなや、私は小切手帳に手を伸ばす』と、ゴダールの映画「勝手にしやがれ」に登場する、皮肉っぽいプロデューサーは語る。
 左翼のスローガンはゲッベルスのこの供述を引っくり返す。「『銃』という単語を聞くやいなや、私は文化へと手を伸ばす」、そのようなスローガンによって、文化は銃に対する効果的な返答として用いられることができる。つまり暴力の勃発とは、主体の無知さに根ざした「行為への移行」(passage a l'acte*1なのである。
 しかしこの考えは『ポストモダン的人種差別』とでも呼ぶべきものの隆盛によって侵食される。『ポストモダン的人種差別』の驚くべき特徴は、再帰的なものに関する鈍感さだ。――黒人に暴行を加えるネオナチのスキンヘッドは、自分が何をしているかについてわかっているが、いずれにしろそれをするのだ。

*1:訳者註:精神分析用語。説明はその……、勘弁してくださいすみません。